抜けるのは
後ろの費用
オフィス移転で予算が崩れるのは、新オフィスの費用ではなく旧オフィスの原状回復と回線の切替です。順番を決めれば潰せます。
移転費用を「坪単価×坪数」で考えると必ず外れます。費用は3系統に分かれていて、それぞれ発注先も時期も違います。
3系統に分ける
発注先も時期も違う3つ
①旧オフィスを出る費用。原状回復工事、廃棄処分、解約に伴う費用。読みにくく、最も揉めやすい。
②新オフィスに入る費用。敷金・保証金、内装工事、什器、看板。金額は大きいが、見積もりが取りやすい。
③つなぐ費用。回線、電話、複合機、サーバー、引越し。金額は小さいが、遅れると業務が止まる。
予算超過の原因は①、業務停止の原因は③です。②は見積もりが取れるので、実は最もコントロールしやすいのに、ここばかりに時間を使ってしまうのが典型的な進め方の誤りです。
時系列で決める
逆算の起点は旧オフィスの解約予告期限です。多くの事業用賃貸では、解約の何か月前までに通知する取り決めがあります。まず契約書を確認してください。
6か月前:契約書の確認(解約予告期間・原状回復の範囲)、新オフィスの条件整理、予算枠の設定
4〜5か月前:物件の内見・申込、解約通知、原状回復の見積もり取得
3か月前:レイアウト確定、回線の申し込み(ここが最重要)、内装工事の発注
2か月前:什器の発注、引越し業者の選定、住所変更が必要な先の洗い出し
1か月前:什器の納品調整、廃棄物の手配、各種届出の準備
移転後:登記の変更、各種届出、原状回復工事の立ち会いと精算
原状回復が読めない理由
原状回復費が想定を超えるのは、「どこまで戻すか」の解釈が貸主と借主で違うためです。
確認する項目:
・契約書の原状回復条項の文言。「入居時の状態に戻す」なのか、「スケルトン(内装のない状態)に戻す」なのか。ここで金額が大きく変わります
・工事業者を指定されているか。指定業者しか使えない場合、相見積もりが取れません
・前入居者の内装が残っている部分の扱い。自分が作ったものでない部分まで負担するのか
・敷金・保証金からの充当と、精算の時期
特に3つ目は見落とされがちです。入居時の写真があれば、必ず探してください。「入居時からこうだった」を示せるかどうかで負担が変わります。
指定業者がなく相見積もりが取れるなら、2社以上から取ってください。原状回復は金額差が出やすい工事です。
回線が最も遅れる
移転作業で唯一、お金では解決できないのが回線の開通です。工事が必要な場合、申し込みから開通まで時間がかかり、繁忙期はさらに延びます。
移転日が決まった時点で、真っ先に申し込んでください。什器やレイアウトより先です。什器は最悪、後から追加できますが、回線がなければ業務が始まりません。
取れる保険は2つ。
①開通までの間、工事不要の回線を用意しておく。ホームルーターやモバイル回線なら、届いた日から使えます。数人規模なら、これで数週間はしのげます。
②固定回線と並行して申し込む。固定回線が間に合えば解約すればよい。止まるリスクに比べれば安い保険です。
工事不要の法人向け回線プランを確認する
工事不要のため、届いた日から使えます。法人向けプランです。
- 法人向けサービスです
- 掲載内容は各社公式サイトの公表値です
- 見積もりは無料で依頼できます
削れる項目
削れるもの、削ってはいけないものを分けます。
削れるもの
・什器を新品で揃えること。中古・アウトレットで大きく下がる項目
・過剰な収納。移転を機に書類を減らすと、収納そのものが要らなくなる
・会議室の数。予約制の共用スペースで代替できることが多い
・不要品の運搬。運んでから捨てるのがいちばん高い。出る前に捨てる
削ってはいけないもの
・回線の冗長性
・原状回復の見積もり取得(安く見えて、あとで請求される)
・電源容量の確認(足りないと後から工事が必要)
・什器の納期確認(オフィス家具は納期が長いものがあります)